2015年09月23日

月間みりさば 2015年09月号 笑えないぞ!加水分解!

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 唐突だがコレクションしていた現用のドイツのブーツが崩壊した。
 今回はコレクターの間では怖い怖い加水分解の話である。


 久しぶりにインドアサバゲーに行こうとコンバットブーツを履いていったら駅に着く前にブーツの底がべりっとはがれて中底がぼろぼろと崩れていった。
 あああああ、加水分解だ!!
 慌ててぼろぼろと崩れていくブーツで家に帰って履き替えて出発した。危うく遅刻するところでしたよ。


 この「加水分解」という現象は、水分とウレタンゴムが反応し、分解反応をする現象である。
 内部で徐々に加水分解が進むため、崩壊は一気に始まる。
 本当に豆腐のように靴底が崩壊していくのだ。


中のクッションが全部ぼろぼろになってしまうのだ


 加水分解というのはウレタンと水が反応することで起きる現象なので完全な回避方法はないといっていい。
 コンバットブーツなどの場合はむしろ水と積極的に触れ合うことも多いわけで、それを避けているようでは何のためのブーツなんだかわからない。
 うちに帰ってからふき取ったとしても中にしみ込んだ水分は確実に加水分解を進めているのだ。
 しかも、高温多湿の日本では一度もはかないうちに加水分解が進んでしまって、今日初めておろした靴が加水分解で崩壊するなんてこともあるのです。
 おおこわこわ。



 この問題、実はスニーカーマニアの間ではかなり有名な現象で最近のスニーカーはウレタンゴムを多用しているものが多いので、コレクションを触るすら怖いという状況になっている人もいるようだ。

 加水分解自体は珍しい現象ではない上に製造後3年から5年程度で起きるといわれているので、靴箱の奥底に眠っていた靴を久々に履こうなんて時も十分に注意したいところだ。
 そういえば、久しぶりに出した靴が出先で加水分解を起こして靴底が取れちゃった靴で帰ったことがあったなぁ。

 用途や軍装によって何足ものブーツを持っているコレクターには頭の痛い話、、、と言いたいところだが、実は軍用ブーツでウレタンソールというのは比較的少数派だったりする。


同じドイツ軍でもこれは20年以上前の西ドイツ軍のもの。
ウレタン底ではないので壊れない。


 ウレタンゴムが一般的になる前の2000年以前のブーツにはこの現象は起きないため、自分のコレクションでいえば、このブーツのみ、ほかのブーツは全く壊れたことがないのだ。
 ちなみに、米軍のブーツはウレタンゴムではないようなのでいは軍のブーツは安心してお買い求めください。

 どちらかというと米軍の場合はポリウレタンコーティングで防水をしているポンチョが濡れてしばらくすると放つ「ポンチョ臭」のほうが問題なのである(実はこれも加水分解が起こしている現象なんですね)。

 というわけでウレタンには気を付けようって話でした。  

Posted by さめ ひろし at 22:20Comments(0)月刊みりさば